今年のプリキュア映画、キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!を観てきました。
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いやもう感想はほんと面白い!の一言に尽きます。
というのも私自身、これまで秋のプリキュアの単体作品の映画に関しては、とても保守的な印象を持っていました。
メインとなる長編では大体話の筋や、雰囲気が決まっていると感じていたのです。
「○○な感じの敵キャラやゲストキャラが出てきて、途中で□□なシリアス展開になって、ミラクルライトを振って応援して、最後は主人公が△△な感じになってやっつけて終わるんだろうな~」
いつもそんな印象を持って鑑賞し、大体その通りになっていたのです。
もちろんプリキュアは3~5歳の女児をメインターゲットにしたアニメですから、私はそれでよいと思っていました。言ってみれば、水戸黄門を見ているような変わらない安心感があったのです。
でも映画キラキラ☆プリキュアアラモードは違いました。
私の持っていた先入観を、見事に破壊し尽くしてくれました。
映画プリアラを見て、「あ、プリキュアってこんなに自由でいいんだ!」と、ガンダムビルドファイターズの主人公イオリ・セイ君のように啓発されました。
そして自由を与えられたプリキュア映画はこんなに面白く、笑える内容になるのだと感動したのです。
以下、大いにネタばれ有りなので閲覧には注意してください。
- TV版の主人公が、映画で主役じゃなくていいんだ!
- 劇場版でも、シリアスなストーリーじゃなくていいんだ!
- 単体作品で過去作のプリキュアが出てきてもいいんだ!
- 師匠がふざけた性格の人でもいいんだ!
- 実在の世界遺産を破壊したままでいいんだ!
- この映画の弱点
- プリキュアに掟なんてなかった。プリキュアは自由だ!
TV版の主人公が、映画で主役じゃなくていいんだ!
映画プリアラの主人公は、キュアパルフェことキラ星シエルことキラリンでした。
昨年の映画は、タイトルこそキュアモフルンでしたが、TV版でも主人公の朝日奈みらいを中心に描かれていました。
それが今年は違いました。明らかにキラ星シエルが中心のストーリーでした。
TV版の主人公の宇佐美いちかちゃんは、今作はシエルちゃんのサポートに回り主人公ではなかったのです。
「TV版の主人公と劇場版の主人公が同じでなくてはならない」なんてことは、聖書にも古事記にも日本国憲法にも書かれていません。
でもこんな当たり前のことに、誰もが気づかなかったのです。
現に私も、太陽が東から登り西から沈むのと同じく、それが絶対に変わらない事実であると疑いませんでした。
しかし、映画プリアラはそんな固定観念を排除し、「TV版では主人公ではないシエルちゃんが主役の映画」という今までにない形を実現して見せました。
この映画のおかげで、かなり「シエルちゃんっていいな……」って思っています。シエルちゃんマイブームが到来しそうです。声優水瀬いのりですし。
でもこれでは来年以降、プリキュア映画の主役は誰になるかわかりません。もしかしたらあなたの推しのあの子になるかもしれません。
プリアラ映画は、そんな可能性のドアのロックを解除してしまったのです。(ドラゴンボール超のOP風に言うなら)
劇場版でも、シリアスなストーリーじゃなくていいんだ!
これまでプリキュアの劇場版といえば、TV版と無関係なオリジナルの強敵が現れ、なんやかんやで緊迫した戦いの末、最後にみんなで協力する熱い展開で倒すという流れがありました。
細かなギャグ要素はあれど、本筋はシリアス展開でした。大体がTVシリーズの話1年分くらいをギュッと凝縮したような、ね。
でもプリアラ劇場版は大きく違います。ほぼ全編に渡ってギャグです。
女児アニメでたまにある、脚本家がクスリやってるんじゃないかとか言われるアレです。特にプリパラやジュエルペットでよく見かけるアレ。
映画プリアラは、あのカオスなギャグ回を、丸ごと劇場版でやったのです。
ちなみに声優陣も私と同じ感想を述べていました。
これがプリパラだったら、大して驚かなかったでしょう。平常運転だなと。
でもプリキュアの映画で本当にこういうノリをやるとは。私がプリキュアに持っていた保守的なイメージは打ち砕かれたと言っていいでしょう。
もしかしたらライバル作品であるプリパラに触発されたのかもしれませんね。
伏線の張り方も秀逸です。まさかそれが伏線だったとは……と衝撃を受けました。
単体作品で過去作のプリキュアが出てきてもいいんだ!
TV版を毎週食い入るように見てる人は事前に知っていたのですが、今作では「魔法つかいプリキュア!」のメンバーがカメオ出演します。
みらいも、リコも、はーちゃんも、モフルンも出ます。
春の映画でしか過去作のプリキュアは登場しない、なんていうのも、我々が勝手に脳内で定めたルールだったようです。
助っ人として参戦し、「ここは私たちに任せて、早く○○へ!」という役割なのは、まあ予想通りでした。流石に後輩にとって代わるような真似はしません。
ただミラクル達がミラクルライトを振ってシエル達を応援するという、プリキュア史上でも記憶にないような珍シーン(名シーン)も生まれました。
師匠がふざけた性格の人でもいいんだ!
「お師匠様」と呼ばれる人は、真面目で厳格できちんとした人というイメージがあるかもしれません。
この映画にはジャン=ピエールというシエルの師匠が登場します。
彼はポスターなどではいかにも厳格そうなよくいる師匠キャラに見えます。芸能人枠の尾上松也さんが演じているので、とてもふざけたキャラには見えません。
が、いざ出てみると確かに厳格な部分もありますが、基本的には非常識で、家賃を滞納しており、周りをあまり顧みない性格をしています。
彼は登場シーンで頭に大きなバラをくっつけて登場し、得体の知れなさを表現するには飽き足らず、カラスの飛び回る店の中で平然とスイーツを完成させます。
「トレビア~ン」が口癖の変人です。
そういった”師匠=厳格、模範的”というイメージに全く当てはまらないジャン=ピエール師匠の活躍のおかげで、「この映画がこれまでのプリキュア映画とは違う」ということを知らせる合図になってくれました。
実在の世界遺産を破壊したままでいいんだ!
これまでプリキュアには「破壊された建物は敵を浄化すると元に戻る」というお約束がありました。
が、今回一つだけ破壊されたままで元に戻らない建物がありました。
それもよりによってエッフェル塔です。フランスの世界遺産です。それが横たわったまま放置されました。
スカイツリーをモデルにした四葉タワーが破壊されたことはありましたが、海外です。
今年の東映アニメは、とんでもない挑戦心です。株価が大きく騰がったのもうなずけますね。
自国の物が大好きでプライドの高いフランス人は激おこになってしまうかもしれませんね。
もっとも、プリキュアの先輩の「明日のナージャ」を大好きなフランス人たちは、笑って許してくれると信じていますが。彼らは皮肉やジョーク好きでもありますからね。
この映画の弱点
唯一、この映画の弱点を挙げるならば、キュアジェラート、立神あおいことあおちゃんの見せ場とセリフが少ないことです。ナマケモノとなったジェラートはかわいいものの、セリフが本当に少ない印象でした。
声優の方のあおちゃんは大活躍だったんですけどね。
またこの映画は、ノリを今までから大きく変えたので商業的に成功するのか?という不安もあります。どうなるか見てみましょう。
プリキュアに掟なんてなかった。プリキュアは自由だ!
かつてプリキュアは「水着禁止」という鉄の掟があると信じられてきました。
けどそれだって、2年前の姫プリで破られてからは、昨年も今年も水着になりました。
そんな掟なんてあると思っていただけだったんです。
それと同様に、私は今回のプリキュアの秋映画はシリアス、真面目なストーリーで、宇佐美いちかちゃんが中心の話になると予想していました。
でもそうではなかった。それらはすべて思いこみでした。プリキュアは自由な存在だったんです。
今回の映画の舞台が、フランス革命の起こった地、「自由、平等、友愛」を標語とするフランスだったのも偶然ではないです。
この映画を観終わった時、確信を持ってこう叫びたくなりました。
「我々は自由だ!」とね。
私たちは実は何にも縛られていません。プリキュアのように、背中には羽が生えていて、この大きな空へいつだって羽ばたけるのです。
そう思わせてくれる素晴らしい映画です。
我々もキュアパルフェ達のように、この大空をどこまでも飛んで行こう!
もしこれに納得できないという方がいたら、シエルちゃんに頭突きしてもらえばよいでしょう。